カクヨム おすすめ ファンタジー。 おすすめのライトノベル投稿サイト

[カクヨム]おすすめのweb小説まとめ(随時更新)

カクヨム おすすめ ファンタジー

作者応援として投げ銭ができる• 読者側にもランキングがある• 豊富な公式イラストから表紙を選べる マグネットは、わかりやすく書くと「投げ銭できる小説サイト」で、 読者からの応援報酬を収入に変えることができるんです。 マネタイズができるというのは大きな魅力ですし、 読者側も読書をすることでポイントを獲得できるというユニークなシステムなんですね。 読者側もポイントを貯める楽しみが味わえ、それを作者に還元できるというのがマグネットの魅力です。 これから伸びていく新進のサイトいうことで、古参作家との差が少ないのも魅力ですし、これからライトノベルを投稿するという方はマグネットを選択肢に入れてみるのもおすすめです。 おすすめの小説投稿サイト比較 ここまでご紹介したおすすめの小説投稿サイトを比較してみました。 小説投稿サイト 強み 弱み 小説家になろう 読者がダントツに多い ラノベレーベルとのコラボ 書籍化チャンス大 異世界ファンタジー需要 作品数が多くて埋もれる ジャンルが異世界に偏る デザインが古め カクヨム KADOKAWA系列運営 書籍化チャンス大 二次創作の公式許可 作家と読者の比率 アルファポリス ランキング登録 書籍化システム 換金システム 小説に特化していない ツギクル ランキング登録 書籍化システム ユーザー数 エブリスタ 恋愛ジャンル 有料設定 ファンタジーラノベに弱い マグネット! 投げ銭システム 古参との差が少ない 読者側の楽しさ 新サービスの不安 読者がまだ少ない 何を目的とするかによって比較する箇所は違うかと思いますが、 たくさんの人に読んでもらうなら小説家になろうで間違いありません。 書籍化をメインとするなら、 KADOKAWA運営のカクヨムもおすすめです。 ライトノベルを投稿するのならこの2サイトで問題ありませんが、外部ランキングサイトとしてアルファポリスを使うのもいいでしょう。

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随時更新! カクヨム良作本棚!!|火柱亭@カクヨムスコッパー|note

カクヨム おすすめ ファンタジー

異世界ファンタジー 211,852文字 西暦20XX年、すでに異世界の存在は広く認識されていた。 そして技術の発展によって転生は競技になり、異世界救済は子供たちの娯楽と化した! 転生装置ドライブリンカー、絶大にして無敵の力を与えるC(チート)メモリ、人生の優位を競うIP(イニシアチブポイント)…… 異世界転生をネタにしまくってホビーアニメと融合させたカオスな世界観が新しい。 しかし、単なる内輪ネタで終わっていないのがすごい所。 試合のシーンはCメモリの組み合わせと戦略の読み合いが本格的で、非常に緊張感があり燃える。 戦略バトルものとしての面白さが尋常じゃない。 また、設定の練り込みも丁寧。 「なぜ滅びそうな世界ばっかり見つかるのか?」「年単位のはずの転生が試合として成立する理由は?」などなど、 疑問・突っ込みどころになりそうな部分にしっかり回答を用意し、物語のさらなる展開に繋げている。 219,061文字 主人公はライトノベル作家! 取材のためなら異世界を冒険し、ログアウト不可のVRMMOにも飛び込んでいく。 「テンプレweb小説」ライトノベル、とでも言うべき? 小説家になろうで発展したテンプレを新しい視点からネタにしている。 すばらしい発想でめちゃ面白いです。 作者さまは新人賞からデビューし、単行本も多く出している本業のライトノベル作家。 だからこそ、主人公の言動に強いリアリティが感じられる。 web連載でたまたま1発ホームランを打っただけの一般人ではなく、売れる人気作を目指してプロットを考え続ける「作家」だからこそ書ける雰囲気。 web小説を読みなれて「なろうテンプレ」を理解してないとちょっと楽しめないかもしれないけど……逆に、 異世界転生ものが好きな人にはすごくオススメ。 web小説の内容も実際に取材した結果としてあるのがセンスありすぎて笑ってしまう。 「俺、異世界は苦手なんスよ。 取材した事もないし」 「なかったっけ?」 「ええ。 取材行ってこいよ」 取材か。 ファンタジー系の異世界は面倒な手続きが多いと聞く。 一昨年もドラゴンに喰われた先輩作家の葬式に顔を出した。 あの時は先輩の遺品をめぐって銃撃戦が起きたっけ。 別の先輩が言うには、ファンタジー異世界での作家の死亡率と失踪率は特に高いらしい。 続きを待ち望んでいるラノベの続編がいつまでも出なかったり、面白かったラノベが突如打ち切られる原因の半分は、それだ。 この世界の小説家、大変すぎぃ! そして、テンプレをおもしろおかしくネタにしているだけじゃない。 「小説家」小説でもある。 作者さまの熱い気持ちがこもっている! だから……言ってるだろう。 ラノベが書きたいんだよ」 「それは全てを捨てても書きたいものなのか!?」 「そうさ」 キノシタは即答する。 「面白い話を思いついたら書かずにはいられない。 可愛いキャラを考えたら妄想せずにはいられない。 熱い展開を思いついたら台詞を考えずにはいられない。 原動力だ。 あの人の作品を読んで、彼は思ってしまったんだ。 「僕の方が、先輩より面白いラノベを書けるんだ!」 全てを捨ててでも書きたいと思うほどの創作意欲。 一度火がついたら止まらないんだ。 う~ん、私もかつては小説を書いていたし、そして今でも設定とプロットだけは次々と思い付たりする、さらには形は違うけどブログという形で自分のアイディアを表現する人間としては心に刺さります。 アイディアを思い付いてしまう、表現したいと思ってしまう。 他の人のおもしろい作品を読んだとき、ただの消費者では終われない。 分かります分かります。 小説家だけじゃなく創作者なら共感せずにはいられない。 ギャグものとしてもハイレベル。 爆笑ポイント多数。 それに加えて、「作家としての生き方」という熱いテーマが作品全体を貫いている。 2章のVRMMOは作家ごとの違い・編集者との力関係などがより深掘りされてて、読んでてしみじみしちゃいますねぇ。 あと、 個人的には「番外最終話 ライトノベルを読もう」の終わり方がめっちゃ好き。 あれだけ悩んだのに! というか、変に装飾するより素直な気持ちが1番! というか、やっぱ女子高生ってそれだけで正義だな! というか 笑 見事な落ちです。 作者さまはさすがですね。 全体を通してすごく好きな1作。 魔術に関わる1つ1つの物や動作の描写が細かく、脳内にイメージが浮かびます。 産婆を恐れさせたのは、どす黒い痣だった。 ちょうど左の指先から手首までを、深い深い暗闇の沼に浸したような、異常な痣。 変色した部分の皮膚はがさがさと硬化して鱗のようにひび割れ、赤子に似つかわしくない禍々しさを放っていた。 初めの方はマルバアサガオの種を煎じたりテッポウユリの根を刻むこと、砕いた鉱石を布袋の裏地に縫い込んだりすることを任された。 これはネルギの村で学んだまじないに通じるところがあったが、ロクドが知るそれよりもずっと繊細なものだった。 あるときカレドアは、乾燥させた月桂樹の葉と孔雀豆とを中綿と一緒に詰めた布製のお守りを見せ、これと全く同じものを十作るように指示した。 サリマトは部屋の四隅に魔を払う漆の蝋燭を置き、魔術で小さな火を灯した。 寝台の周りに紫水晶アメシストを砕いて粉末にしたものを少しずつ撒きながら、一周する。 次に、ルースの祝福を受けた塩を使って同じようにもう一周。 それから、サリマトは瓶につめた植物の汁に人差し指を浸すと、紫水晶と塩の線を踏まないようにして寝台に近づき、男の額に印を描いた。 額の上で印はすぐに乾いて、見えなくなる。 遠目にも、男の呼吸が微かに和らいだのが分かった。 最後に、そっと男の手を取り上げ、瑪瑙の欠片を握らせた。 使われる物、動作などが丁寧に書かれているとリアリティがぐぐっと増しますねぇ。 「地球人の空想」ではなく「 その世界に根付いた技術」に思えるというか。 ストーリーも無駄のない進行で長すぎず読みやすい。 死人も出て重い展開だけど、それゆえに迫力と深い読後感がある。 第3章からの流れは主人公たちと一緒に精神をゆさぶられますね……街が病魔に冒され、夫婦も死んでしまう。 丁寧に書かれているからこそ悲しい。 師匠の過去編もね~、途中からほんと嫌な空気。 特に地下儀式のシーン、「この女性って……」と思ってると悪い予感が的中するという。 そりゃ絶望もしますわ。 シリアスなハイファンタジーが読みたい人には強くおすすめできる作品です。 現代ファンタジー 186,930文字 時は1950年代。 気弱な10歳の少年「ステファン」には魔法の才能が有るらしい。 父親は行方不明、母親は礼儀作法にうるさい教育ママで魔法なんて信じていない。 家の中で息苦しく生活したいたところに、1人の魔法使いが尋ねてきた。 そこから始まる不思議な日々と明らかになっていく真実。 非常に描写力があり、豊かなファンタジー世界が見事に伝わってくる。 1つ1つのシーンが丁寧で美しい。 これぞ現代ファンタジーな場面多数。 ストーリーも正統派児童文学で高品質。 少年の成長、家族の再生、人間関係の改善、社会の変化。 読み終わってみるとみんな幸せになっていてしみじみ、とても満足感があります。 長い指がそれをくるっと回し、車を軽く叩いた。 「もういいよ、アトラス」 声に応えるように、鼓膜に沁みる音を立てて空気が震えた。 と、たちまち黒い車は盛り上がり膨れ、巨大な生きものの姿に変わる。 「うそ……!」 ステファンは自分の目を疑った。 逆光の中で長い首が伸びた。 黒い溶岩弾を思わせる頭部に口が開き、牙が二列に並んでいる。 全身が黒光りする外皮に覆われ、尻尾の内側にはステファンのトランクがしっかり結わえ付けられている。 何よりも驚きなのは——翼だ。 絵本で見るドラゴンのような、尖った翼を持っている。 まぎれもなくこいつは翼竜だ。 翼竜は背伸びするように翼を拡げると、器用に折りたたんで向き直り、ぬうと首を突き出して、金色の眼でステファンを見た。 縦長い光彩はどこまで見透かしているのか。 ステファンは震えあがった。 車が翼竜に変身! 良いですな~! 現代ファンタジーだからこその、ワクワクドキドキな場面。 他にも妖精、動く羽ペン、空中でのダンスなどなど絵になるシーンがたくさん。 エイレンさんが、ラジオの中に小人が入ってると思ってる、とか古典的だけど笑っちゃいます。 そして 世界観としても良い空気なんですよね。 魔法使いは社会的に存在を認められているが、徐々に衰退している。 そして魔法使いたちにもあきらめの気持ちがある。 「竜や竜人のたどった道は、いずれ魔法使いもたどる道さ。 時代によって利用されたり否定されたり、都合のいい存在だ。 今は科学万能とか言って魔法そのものが忘れられようとしてる。 昔、科学と魔法は共存してたはずなのにね。 そのうち、僕らなんて物語の中にしか存在しなかった、ってことになるんだろうな」 ステファンの胸に冷たい水が流れ込んだような感覚がした。 聞きたくないことを聞いてしまった。 魔法使いってそういう扱いなのか。 魔法・ファンタジー要素の書き方も作品によっていろいろとありますが、この雰囲気はとても私の好み。 中世ファンタジーだと魔法って「当たり前」じゃないですか。 不思議というより「技術」であり「常識」? しかし、本作だと魔法は徐々に消えようとしている。 不思議・幻想・哀愁・謎……何というか魔法に対する「 あこがれ」の気持ちを思い出させてくれます。 そのうち、僕らなんて物語の中にしか存在しなかった、ってことになるんだろうな 良いセリフだと思いませんか? 作者さまのファンタジーに対する愛を感じます。 そして、ライトノベルじゃなくて児童文学。 主人公「ステファン」が親子関係に悩んでいる、そして両親にもそれぞれの悩みがある。 親は「完ぺきな保護者」でもなければ「無理解な悪役」でもない。 基本的にラノベって親が出てこないもの。 そういう意味では親子関係がしっかり書かれているファンタジーって一周回って新鮮に楽しめちゃいますねぇ。 お母さんの子供時代のトラウマとか涙腺が緩みますよ。 親も1人の人間、リアルな描写です。 あと キャラの口調がすごく上手いです。 10歳の少年の話し方、25歳の青年、60歳近いおばあさん……非常にそれっぽい。 「まあまあー。 面白うございますね、もっと聞かせてくださいまし坊ちゃん」 すべての面でとても完成度が高い作品。 もしかすると正統派海外ファンタジー児童文学すぎるのかも知れませんが……しかし間違いなく面白い。 古き良き物語、古き良きファンタジー。 そういう雰囲気ですねぇ。 はたしてステフの未来はどうなるのやら。 このまま魔法が消えると、魔法使いの立場も悪くなりそうだし……物語としては明るくても世界観としては微妙に暗いのがリアリティというかむしろ大人のための児童文学化も。 SF系 113,051文字 宇宙系社畜物語。 ブラックを超えた「ダークマター企業」で働く主人公のつらい日常。 怒涛の勢いで飛び出してくるブラックジョークがたまらないSFコメディ。 趣味が合う人には大爆笑の作品。 全体的に淡々とした進行、それがかえって笑える。 作者さまは「銀河ヒッチハイクガイド」が好きとのこと。 SFに詳しい人ならこれだけで雰囲気は伝わるでしょう! 敵も大冒険も出てこないが、そもそも現実の大部分が敵であり日々の業務が命がけ。 SFコメディに社畜要素を組み合わせたのが日本的? メロンスター社は、銀河全体に営業拠点をもつ大企業である。 従業員数は三百億人を超え、時間旅行ツアーからアサガオの栽培、哲学者の派遣業から夏休みの宿題代行まで多岐に渡る事業を行っている。 会社案内の事業内容ページがあまりに厚いため、撲殺事件の凶器として使われることが頻発したので、最新の会社案内では事業内容を「かなりたくさん」の一行ですますようになった。 これによって年間百三十万本の木が救われることとなったが、大得意先をなくした製本業界は大不況に陥ったため、自殺者が大量発生した。 これらの自殺者はどういうわけかきまって木に首をくくったので、首吊りを防ぐために年間一千三百万本の木が伐採されることとなった。 ギャグ系の作品って説明しにくいんですよね。 感性に合うか合わないかなんで。 この文章を読んで「面白い!」と感じた人は、この作品と相性ばっちり。 ぜひ本文を読んでください。 すばらしく楽しい時間を過ごせるはずです。 もうね、私はこの時点で笑いが止まりませんでしたよ! 名作の香りしかしない。 実際、本文のキレもすばらしい。 紹介分だけ面白いなんてことはなく、 読めば読むほどカオスとブラックジョークが押し寄せてくる! とにかく密度がすごい。 このクオリティは商業作品と比べても負けないレベルじゃないかと思いますねぇ、それぐらい面白い。 少なくとも私が読んできた全SF小説の中でトップクラスに入ります。 ここまで多くのギャグを考えつける作者さまはすごい人。 とてつもない想像力とセンス。 謎の装置やら、意味不明なルールやら、よくアイディアが出てくるものですよ。 主人公「セン・ペル」と、彼の部下(?)であるシュレッダーロボットたちの関係も良い。 このシュレッダーロボットたちが生意気だけど子供っぽくてかわいいんですよね~。 良い味してますよ、このシリーズのマスコット枠でしょうか。 すごい好き勝手にやってて笑うし、権利向上のための挑戦が毎回さらっと失敗しててかわいそう。 というか冷静に見ればシュレッダーロボットたちもかなり辛辣で凶暴っぽいんだけど、こいつらがマスコットにしか見えないレベルで周りがひどすぎる(笑) いや~、合う人には最高に楽しい作品。 222,319文字 記憶を失い人間に擬態していた宇宙種族の侵略兵器。 そして、彼女と一緒に仲良く活動していた人間の少女「遥」。 ある日、地球は破壊され2人は逃げ延びる。 人類最後の生き残りとなった遥が目指すは、銀河中心に座する超巨大ブラックホール。 その特異点を潜り、滅びの歴史を改変するために。 2人のはるかなる戦いと旅が始まる。 あっさりと地球は破壊され、巨大ロボが亜光速で格闘したと思えば、もふもふの宇宙人と遭遇し、人工太陽と宇宙樹にめぐり合い、金属生命体の防御網を突破する。 これぞSF!な大スケールかつ美しいシーンがたくさん。 各種の設定も非常にそれっぽく、作者さまの確かな知識とこだわりを感じて好印象。 ある意味では自己同一性が崩壊しまくってるストーリー展開も実にSFですばらしい。 SFと言っても色々とありますが、個人的には宇宙の神秘と美しさ、地球上では決してあり得ない超絶スケールの光景が大の好み。 ストライクゾーンど真ん中の描写です。 膨れ上がった太陽の中に、その 居留地 セツルメントはあった。 他の恒星間種族より黎明種族と呼ばれ、そして自らはもふもふ族と名乗るひとびとの。 その形状を一言で言い表せば、巨大なクジラである。 実際それは生きていた。 ある種の生命を備えた機械なのだ。 彼の代謝は強力な防御磁場を生み出し、恒星のプラズマや放射熱への防壁となる一方、太陽風を受け止め、運動エネルギーや有益な物質を確保するための帆の役割をも果たしていた。 さらにはこの、130キロメートルにも及ぶ巨大な構造物は、表面をある種の液体で守られている。 防御磁場によって受け止められた物質をこしとり、必要な元素を抽出する機能を備えているのだ。 元素転換は枯れた技術だが、この地に住まうひとびとはそれに頼らず、昔ながらのより素朴な方法を選んだ。 ローテクで十分に間に合うからである。 「人工太陽が照らし出す、内向きに閉じた楽園。 か……」 世界のことを遥は、そう評した。 一見すればそこは、木漏れ日の差し込む森の一角。 そう見えるだろう。 間違いではない。 されど、それ以外の全てにおいて、ここは規格外だった。 まず、地面がない。 その代わりをしているのは 機械生命体 マシンヘッドでもサッカーが出来そうなくらいに巨大な木の幹であり、四方で交差しているのも同様の巨木である。 ここは複雑に絡み合った巨木。 それも惑星サイズのそれからなる、途方もなく巨大な生態系なのだ。 まさしく驚異としかいいようがない。 そして、この天体の植物の枝葉はすべてが内を向いている。 陽光が惑星の外ではなく、中心から来るからだった。 くぅ~~~!!! たまらん! ロマンあふれる宇宙描写、すばらしい。 そして、表面的な美しさだけなく 作中に出てくる各種理論もしっかり作られていて作者さまの確かな知識とこだわりを感じて好印象。 たとえば、作中には光速を超えるいわゆるワープが出てきますが、異次元などを使わずにがっつり理論化されています。 トンネル効果が光速を越えて作用するように、位置エネルギーが一致する点同士を渡るのである。 物質の存在はそれ自体が量子である。 ある瞬間に消滅し、次の瞬間にそれは再び生成される。 離散的なのだ。 本来(量子論的な揺らぎの範囲内で)同一地点に出現するはずのそれを、均衡するもう片方の地点に再生成させるのが慣性系同調航法だった。 私は科学者じゃないので説明の正誤・可能性のありなしは判断できませんが、少なくとも作中世界の物理法則にしたがった描写しか出てきません。 なんというか作者さまの「 科学的思考」を感じます。 「 ファンタジーじゃなくてSFを書くぞ!」という心構えと言いますか。 ストーリーも本格的。 序盤で少女があっさり死んで、計算されたデータとしてシュミレーション上で会話する……この展開を見た時に「この作品は面白い!」と確信しましたね。 間違いなく作者さまはSF好き。 主人公の遥さんも、とても良いキャラです。 科学的知識が豊富で宇宙大好き。 そして、精神的強さと好奇心がやばい。 後輩の正体が金属生命体。 あっさり地球が滅び、自分が人類最後の生き残り。 しかも、自分の体は分解されて、機械の中で計算されたプログラムとしてのみ存続している……こんな状況を受け止め理解し、それでも前に進めるのはすごすぎる。 私を含めて人類の99. 特に4章のストーリーは、ほんとSF的ですねぇ。 いきなり2000年が経過! そして、人格というのは記憶なんだから「まったく同設計の機体に記憶を叩きこめば後輩ちゃんになる」という驚きの再会方法! これはガチのハードSF系の思考回路じゃないと思い付けない流れでしょう。 再会……いや、再会なんですけどね。 良い発想すぎる。 2人の少女(?)たちが助け合い支え合う百合物語にして、壮大なスケールな本格ハードSF。 こういう驚くほどの良作に出会ってしまうから、web小説の発掘はやめられません。 191,250文字文字 ホログラフィによる投影現実の高度な発達によって生まれたeスポーツ「Nove R ize」。 対面した状態で小説を書きあげ、それを相互に読ませ合う事で完成度の高さを競う! 1人1人違うタイピングスタイル、そして筆者の意識が巨大なアバターなり激しく衝突するのが魅力。 そして今、1人の少年が己の才能を開花させていく。 そして主人公を中心にキャラクターたちが良い感じに濃い。 ギャグセンスもあってかなり笑えます。 さらに 次々と繰り出される小説がすべて面白そうであり、作者さまのネタの豊富さに驚愕するしかない。 ほんと設定が良いんですよね~ ソウル・ライド……【 R izing Seed】ライジング・シードに搭載された、筆者の特殊アバター的な役割と筆力を象徴する存在。 その姿形はライドのAIが筆者の思想、信念、趣向、性格、自信、経験など様々な部分を読み取り自動生成される。 紋心 ぶんしんや 創琉 そうるなどとも呼ばれる。 ソウル・ライドは、ノベライズ中にイマジネーション(想像力)、モチベーション(意欲)、コンセントレーション(集中力)などが高まったノベライズ・ハイとなると、ホログラフィとして具現化される。 ノベライズのソウル・ライド同士の戦いは、小説に興味がない層からも人気だった。 それがこの男のソウル・ライドである。 ユニサス!そこで立ちすくむだけの腰抜けを星屑にしろ! う~ん、幻獣アバターが出てくる小説執筆……新しい! このセンスはすごいですよ。 「小説を書く」なんて普通は地味な話になるところを読んでいて爽快なバトルものへと進化させている。 アバターたちの描写が無駄にかっこよすぎぃ。 そしてストーリー展開としてもライバルたちの1人1人に個性と独特な戦術がある。 キャラ設定が上手いですなぁ。 そして何と言っても、出てくるネタが面白い! 【鈴木ロワイヤル】 ジャンル:SFサスペンス 俺は鈴木太郎。 将来は科学者にでもなってみんなを見返そうと国立の理系大学への進学を考えていたのだが、突然「パラレルワールドからやってきた」と主張する謎の美少女、ウッドベルから大学の進学をやめるよう説得される。 どうやら俺は大学で平行世界説を発見するらしく、それが人類と歴史の歯車を狂わせてしまうらしい。 様々な平行世界から次々と襲いくる俺こと鈴木太郎の群れ。 まさかの自分同士の殺し合いに巻き込まれる、セルフ・デスゲームに解決策はあるのか!? 【忍球 — ハイボール -】 ジャンル:ドラマチック・スポーツ 忍歴929年。 風・林・火・山の四つの大国が繰り広げた幾万もの血を流した百年にも及ぶ戦乱は、和平を持って終結を迎えた。 死線と争いが去ったこの世で忍としての役目を失った者たちは存在する意味を探し求めた。 そこで、球技と忍術を組み合わせた、まったく新しい戦いが誕生する。 その名は — 忍球 ハイボール — 林の国で下忍として拝命されると同時に戦の終わりを迎えた少年ハヤテは、生きる希望を失った里の仲間たちや大人たちと時に衝突しながらも球技の素晴らしさと向き合う。 野球、蹴球、排球、鎧球、籠球、籃球。 誰もが知るスポーツと忍術を融合した新たなスポ根の歴史が幕開く。 うひょ~、 どれも普通に作品になりそう。 ノベライズバトルの中でポンポン気軽に出せるクオリティじゃないでしょ! 1試合を描くのに5個ぐらいアイディアが必要なんですよ……作者さまの脳内はどうなっているのか? 小説執筆バトルという奇抜なアイディアを、すさまじい実力によって成立させている。 すごい作品です。 92,260文字 同じ関西の京都と大阪から田舎者と馬鹿にされがちなマイナー県、滋賀県。 だが、そんな滋賀県には湖として日本一の大きさを誇る琵琶湖がある! これをさらに拡大してしまえ! 今、1つの計画が美少女Vtuberにして滋賀県知事「ホタル・コウヨウ」と琵琶湖ラブな県民たちによって動き出す。 関西人なら爆笑確実、 徹底してバカバカしい発想がたまらない! ギャグセンス爆裂! そして、1発ネタで終わらず中盤からさらに加速していく怒涛のストーリー展開もすばらしい。 琵琶湖の中にある水中都市群などSF的で絵になる美しいシーンも多数。 カメラが映し出す映像には、まさに滋賀県民以外の世間が想像する、琵琶湖しかない滋賀県という光景が映し出されていた。 「県庁所在地である大津、さらには草津、彦根、長浜など滋賀県の主な居住区は全て琵琶湖の下に沈んでしまいました!」 大島は滋賀県の主要な都市だけを口にしたが、映像を見れば滋賀県にもはや人の住めるような場所がほとんどないのは一目瞭然であった。 先ほどとは比べ物にならない轟音とともに、琵琶湖の中から球状の透明なドームに覆われた都市群が次々と浮上してきた! まず顔を出したのは大津市南部。 続いて隣接する大津市北部と草津市、栗東市。 と、同時に北の方では長浜市が浮上し、米原、彦根と続いていく。 拡大した琵琶湖が滋賀県を覆いつくす 笑 その中に立つ巨大なドーム型都市群! いやぁ、とんでもない発想で面白すぎる! こういうカオスなギャグは大好きです。 ほんと読み進める手が止まらない! どんどんネタが飛び出してくる。 琵琶湖の水全部抜く! には衝撃を受けましたよ。 さらに 最後に明かされるPK計画の真実には、驚愕しつつ大爆笑。 予想の上を行くスケールのデカさ! これは天才の発想! 一部を引用しただけじゃ面白さが伝わらないのでぜひぜひ自分で読んで爆笑していただきたい。 加えて ローカルな滋賀県ネタ、および関西あるあるネタも多数。 局長からPK計画の名を聞かされた時から、Kは京都に違いないと踏んでいた。 それぐらい滋賀県民の京都への意識は凄まじい。 古都だがなんだが知らないが、何かにつけて滋賀県を田舎だとバカにする。 「それを言うならお前らも北の方はド田舎じゃないか」と滋賀県民は常に苦々しく思っているのだ。 私は大阪人ですが分かります分かります 笑 京都は意識しちゃいますよね~。 また、これだけバカバカしい話にも関わらず、 主人公の行動はとても堅実で常識的。 これが物語に謎のリアリティを与えていて魅力倍増。 上手いですね。 序盤から最後まで続くカオスを見事な文章力でまとめあげている、とても良質なコメディ小説です。 現代ドラマ 151,830文字 同性愛者の少年と腐女子の少女が織りなす奇妙な関係。 自分の秘密を打ち明けるべきか少年は苦しみの日々を送り……軽い印象のタイトルに反し、同性愛について本格的に書いている力作。 日本社会で生きる同性愛者の思考・悩みが生々しく描かれていて非常に重いリアリティがある。 私自身、まだまだ同性愛者の方々について無理解だと気づかされました。 またテーマ性だけでなく 筆力があって純粋に小説としてもレベルが高い。 話の流れ・それぞれのキャラクターの行動・会話、ぐいぐい読み進めてしまいます。 BL女子を組み込んできたのも若いセンスで良い。 世間体じゃない。 世俗を気にしているわけじゃない。 少なくとも僕は、僕と奥さんと子どもで築く平凡な家庭も、郊外の庭付き一戸建ても、孫たちに囲まれた幸せな老後も、全部欲しい。 たくさんの家族に看取られて、「いい人生だった」なんて呟いて、眠るように息を引き取りたい。 ただちんぽこが、ちんぽこがどうしても上手く勃ってくれない。 本当に、ただそれだけの単純な話を、ほとんどの人は分かってくれていない。 ゲイの人でも、自分の子供が欲しい。 なんというか当たり前と言えば当たり前なんですが、私はこの文章を読むまで理解できてなかったです。 百合とかBL呼ばれるジャンルでは同性愛者同士のやり取りが基本。 だから誤解も無く平和な世界。 しかし本作では、異性愛者に好意を持たれてしまう、というストーリー。 そして 同性愛者だけど子供と家庭が欲しいと願っている。 リアリティがあり強烈に重い展開。 偽装結婚してるマコトさんもねぇ……重いキャラです。 あと、ミスター・ファーレンハイトの真相は本当に驚きました……なんてこったい。 驚きと失望と、それ以上の悲しみ。 主人公と一緒に心揺さぶられますね。 そして「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」、すごく良いタイトルだと思います。 キャッチーで興味が引かれるし、問題の大きさも上手く表現している。 そして途中で反転するのがまた味わい深い。 「彼女が好きなのは僕であってホモではない」、ある意味でより絶望的。 勉強になるし小説としても完成度が高い。 ぜひ読んでみるべき作品じゃないかと。 それにしても、この作品が「面白い」とか「珍しい」とか言われない社会にしていかないとダメですね。 日本社会の中で自分が同性愛者であることが堂々と公言できないからこそ、この物語が成立してしまうわけで。 143,231文字 2019年。 加速するサイバー犯罪に対抗できる人材が求められている世界。 サイバーセキュリティ製品をあつかう主人公「ショウ」は、かつて同僚だった「サク」を探していた。 ようやく再会したものの彼は犯罪者になっていて、さらに東京で大規模なサイバーテロが発生し……!? SFではなく既存技術を題材としたハッカーたちの物語。 作者さまは現役のIT関係者であり、内容が本格的で厚みがあります。 その分だけ細かいので、まったく知識が無い人はやや読みにくいかもしれませんが……説明が上手いから気にならないのでは。 ストーリも序盤から緊迫感があり読み進めちゃいますね。 あと タイトルが見事。 IT関係の言葉を使って内容を適切に表しつつ、詩的な雰囲気も感じられる。 ブラックホールというのはこの業界では天文学の話ではなく、アプリケーションを攻撃するウェブサイト上のサービスのことだ。 使い方は難しくなく、子供でもやり方さえ教え込めばハッキングができるようになる。 そんなサービスがあるとは! 怖い! 読んでると色々と勉強になる。 色々とな攻撃方法と、様々な防御法。 非常にしっかりした業界ものです。 もちろん、知識をダラダラと並べるだけの退屈な作品ではありません。 え、ただいま総理からありました通り、『ナイアルラトホテップ』を名乗るハッカー集団より声明が出ました。 昨日から東京23区を中心として、医療、交通、電気ガス水道などへ集中的な攻撃が繰り返され、利用できない状態が続いておりますが、いずれもこのハッカー集団によるものとのことです。 いきなり東京がサイバーテロで壊滅した部分からスタート! 死者1万人! 何がどうなったのか、グッと引き込まれます。 そして「 サイバー犯罪でも人が死ぬ」という危機感を提示してくるのも良い。 私みたいな一般人だと、どうしてもサイバー犯罪を軽く見ちゃってる気がするので。 こういう風に「 ネットの中だけで終わる話じゃない!」と見せられると物語に迫力が増します。 ウィルスと攻防するシーンも非常に上手い。 ぶっちゃけ「どれだけすごいのか」を理解できる人は少ないでしょうが、 知識が無くても「何となく超すごい」とは理解できる。 すばらしい筆力です。 ストーリー展開も本当に迫力がある。 出会いと別れ、成功と崩壊、正気と狂気、白と黒……特に事件が起きてからの緊迫感には引き込まれます。 おお……みんな良い奴だったのに。 読んでて辛い重苦しさ、でもだからこその魅力が……そして勝ち逃げするサク君有能。 しっかりした専門知識、そして交錯する人間関係と真実。 とても良質な現代ものです。 さて、個人的完結作品ベスト10はいかがだったでしょうか。 我ながら偏ってる……ほんとカクヨムにも面白い物語はたくさんありますよ。

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異世界ファンタジー 211,852文字 西暦20XX年、すでに異世界の存在は広く認識されていた。 そして技術の発展によって転生は競技になり、異世界救済は子供たちの娯楽と化した! 転生装置ドライブリンカー、絶大にして無敵の力を与えるC(チート)メモリ、人生の優位を競うIP(イニシアチブポイント)…… 異世界転生をネタにしまくってホビーアニメと融合させたカオスな世界観が新しい。 しかし、単なる内輪ネタで終わっていないのがすごい所。 試合のシーンはCメモリの組み合わせと戦略の読み合いが本格的で、非常に緊張感があり燃える。 戦略バトルものとしての面白さが尋常じゃない。 また、設定の練り込みも丁寧。 「なぜ滅びそうな世界ばっかり見つかるのか?」「年単位のはずの転生が試合として成立する理由は?」などなど、 疑問・突っ込みどころになりそうな部分にしっかり回答を用意し、物語のさらなる展開に繋げている。 219,061文字 主人公はライトノベル作家! 取材のためなら異世界を冒険し、ログアウト不可のVRMMOにも飛び込んでいく。 「テンプレweb小説」ライトノベル、とでも言うべき? 小説家になろうで発展したテンプレを新しい視点からネタにしている。 すばらしい発想でめちゃ面白いです。 作者さまは新人賞からデビューし、単行本も多く出している本業のライトノベル作家。 だからこそ、主人公の言動に強いリアリティが感じられる。 web連載でたまたま1発ホームランを打っただけの一般人ではなく、売れる人気作を目指してプロットを考え続ける「作家」だからこそ書ける雰囲気。 web小説を読みなれて「なろうテンプレ」を理解してないとちょっと楽しめないかもしれないけど……逆に、 異世界転生ものが好きな人にはすごくオススメ。 web小説の内容も実際に取材した結果としてあるのがセンスありすぎて笑ってしまう。 「俺、異世界は苦手なんスよ。 取材した事もないし」 「なかったっけ?」 「ええ。 取材行ってこいよ」 取材か。 ファンタジー系の異世界は面倒な手続きが多いと聞く。 一昨年もドラゴンに喰われた先輩作家の葬式に顔を出した。 あの時は先輩の遺品をめぐって銃撃戦が起きたっけ。 別の先輩が言うには、ファンタジー異世界での作家の死亡率と失踪率は特に高いらしい。 続きを待ち望んでいるラノベの続編がいつまでも出なかったり、面白かったラノベが突如打ち切られる原因の半分は、それだ。 この世界の小説家、大変すぎぃ! そして、テンプレをおもしろおかしくネタにしているだけじゃない。 「小説家」小説でもある。 作者さまの熱い気持ちがこもっている! だから……言ってるだろう。 ラノベが書きたいんだよ」 「それは全てを捨てても書きたいものなのか!?」 「そうさ」 キノシタは即答する。 「面白い話を思いついたら書かずにはいられない。 可愛いキャラを考えたら妄想せずにはいられない。 熱い展開を思いついたら台詞を考えずにはいられない。 原動力だ。 あの人の作品を読んで、彼は思ってしまったんだ。 「僕の方が、先輩より面白いラノベを書けるんだ!」 全てを捨ててでも書きたいと思うほどの創作意欲。 一度火がついたら止まらないんだ。 う~ん、私もかつては小説を書いていたし、そして今でも設定とプロットだけは次々と思い付たりする、さらには形は違うけどブログという形で自分のアイディアを表現する人間としては心に刺さります。 アイディアを思い付いてしまう、表現したいと思ってしまう。 他の人のおもしろい作品を読んだとき、ただの消費者では終われない。 分かります分かります。 小説家だけじゃなく創作者なら共感せずにはいられない。 ギャグものとしてもハイレベル。 爆笑ポイント多数。 それに加えて、「作家としての生き方」という熱いテーマが作品全体を貫いている。 2章のVRMMOは作家ごとの違い・編集者との力関係などがより深掘りされてて、読んでてしみじみしちゃいますねぇ。 あと、 個人的には「番外最終話 ライトノベルを読もう」の終わり方がめっちゃ好き。 あれだけ悩んだのに! というか、変に装飾するより素直な気持ちが1番! というか、やっぱ女子高生ってそれだけで正義だな! というか 笑 見事な落ちです。 作者さまはさすがですね。 全体を通してすごく好きな1作。 魔術に関わる1つ1つの物や動作の描写が細かく、脳内にイメージが浮かびます。 産婆を恐れさせたのは、どす黒い痣だった。 ちょうど左の指先から手首までを、深い深い暗闇の沼に浸したような、異常な痣。 変色した部分の皮膚はがさがさと硬化して鱗のようにひび割れ、赤子に似つかわしくない禍々しさを放っていた。 初めの方はマルバアサガオの種を煎じたりテッポウユリの根を刻むこと、砕いた鉱石を布袋の裏地に縫い込んだりすることを任された。 これはネルギの村で学んだまじないに通じるところがあったが、ロクドが知るそれよりもずっと繊細なものだった。 あるときカレドアは、乾燥させた月桂樹の葉と孔雀豆とを中綿と一緒に詰めた布製のお守りを見せ、これと全く同じものを十作るように指示した。 サリマトは部屋の四隅に魔を払う漆の蝋燭を置き、魔術で小さな火を灯した。 寝台の周りに紫水晶アメシストを砕いて粉末にしたものを少しずつ撒きながら、一周する。 次に、ルースの祝福を受けた塩を使って同じようにもう一周。 それから、サリマトは瓶につめた植物の汁に人差し指を浸すと、紫水晶と塩の線を踏まないようにして寝台に近づき、男の額に印を描いた。 額の上で印はすぐに乾いて、見えなくなる。 遠目にも、男の呼吸が微かに和らいだのが分かった。 最後に、そっと男の手を取り上げ、瑪瑙の欠片を握らせた。 使われる物、動作などが丁寧に書かれているとリアリティがぐぐっと増しますねぇ。 「地球人の空想」ではなく「 その世界に根付いた技術」に思えるというか。 ストーリーも無駄のない進行で長すぎず読みやすい。 死人も出て重い展開だけど、それゆえに迫力と深い読後感がある。 第3章からの流れは主人公たちと一緒に精神をゆさぶられますね……街が病魔に冒され、夫婦も死んでしまう。 丁寧に書かれているからこそ悲しい。 師匠の過去編もね~、途中からほんと嫌な空気。 特に地下儀式のシーン、「この女性って……」と思ってると悪い予感が的中するという。 そりゃ絶望もしますわ。 シリアスなハイファンタジーが読みたい人には強くおすすめできる作品です。 現代ファンタジー 186,930文字 時は1950年代。 気弱な10歳の少年「ステファン」には魔法の才能が有るらしい。 父親は行方不明、母親は礼儀作法にうるさい教育ママで魔法なんて信じていない。 家の中で息苦しく生活したいたところに、1人の魔法使いが尋ねてきた。 そこから始まる不思議な日々と明らかになっていく真実。 非常に描写力があり、豊かなファンタジー世界が見事に伝わってくる。 1つ1つのシーンが丁寧で美しい。 これぞ現代ファンタジーな場面多数。 ストーリーも正統派児童文学で高品質。 少年の成長、家族の再生、人間関係の改善、社会の変化。 読み終わってみるとみんな幸せになっていてしみじみ、とても満足感があります。 長い指がそれをくるっと回し、車を軽く叩いた。 「もういいよ、アトラス」 声に応えるように、鼓膜に沁みる音を立てて空気が震えた。 と、たちまち黒い車は盛り上がり膨れ、巨大な生きものの姿に変わる。 「うそ……!」 ステファンは自分の目を疑った。 逆光の中で長い首が伸びた。 黒い溶岩弾を思わせる頭部に口が開き、牙が二列に並んでいる。 全身が黒光りする外皮に覆われ、尻尾の内側にはステファンのトランクがしっかり結わえ付けられている。 何よりも驚きなのは——翼だ。 絵本で見るドラゴンのような、尖った翼を持っている。 まぎれもなくこいつは翼竜だ。 翼竜は背伸びするように翼を拡げると、器用に折りたたんで向き直り、ぬうと首を突き出して、金色の眼でステファンを見た。 縦長い光彩はどこまで見透かしているのか。 ステファンは震えあがった。 車が翼竜に変身! 良いですな~! 現代ファンタジーだからこその、ワクワクドキドキな場面。 他にも妖精、動く羽ペン、空中でのダンスなどなど絵になるシーンがたくさん。 エイレンさんが、ラジオの中に小人が入ってると思ってる、とか古典的だけど笑っちゃいます。 そして 世界観としても良い空気なんですよね。 魔法使いは社会的に存在を認められているが、徐々に衰退している。 そして魔法使いたちにもあきらめの気持ちがある。 「竜や竜人のたどった道は、いずれ魔法使いもたどる道さ。 時代によって利用されたり否定されたり、都合のいい存在だ。 今は科学万能とか言って魔法そのものが忘れられようとしてる。 昔、科学と魔法は共存してたはずなのにね。 そのうち、僕らなんて物語の中にしか存在しなかった、ってことになるんだろうな」 ステファンの胸に冷たい水が流れ込んだような感覚がした。 聞きたくないことを聞いてしまった。 魔法使いってそういう扱いなのか。 魔法・ファンタジー要素の書き方も作品によっていろいろとありますが、この雰囲気はとても私の好み。 中世ファンタジーだと魔法って「当たり前」じゃないですか。 不思議というより「技術」であり「常識」? しかし、本作だと魔法は徐々に消えようとしている。 不思議・幻想・哀愁・謎……何というか魔法に対する「 あこがれ」の気持ちを思い出させてくれます。 そのうち、僕らなんて物語の中にしか存在しなかった、ってことになるんだろうな 良いセリフだと思いませんか? 作者さまのファンタジーに対する愛を感じます。 そして、ライトノベルじゃなくて児童文学。 主人公「ステファン」が親子関係に悩んでいる、そして両親にもそれぞれの悩みがある。 親は「完ぺきな保護者」でもなければ「無理解な悪役」でもない。 基本的にラノベって親が出てこないもの。 そういう意味では親子関係がしっかり書かれているファンタジーって一周回って新鮮に楽しめちゃいますねぇ。 お母さんの子供時代のトラウマとか涙腺が緩みますよ。 親も1人の人間、リアルな描写です。 あと キャラの口調がすごく上手いです。 10歳の少年の話し方、25歳の青年、60歳近いおばあさん……非常にそれっぽい。 「まあまあー。 面白うございますね、もっと聞かせてくださいまし坊ちゃん」 すべての面でとても完成度が高い作品。 もしかすると正統派海外ファンタジー児童文学すぎるのかも知れませんが……しかし間違いなく面白い。 古き良き物語、古き良きファンタジー。 そういう雰囲気ですねぇ。 はたしてステフの未来はどうなるのやら。 このまま魔法が消えると、魔法使いの立場も悪くなりそうだし……物語としては明るくても世界観としては微妙に暗いのがリアリティというかむしろ大人のための児童文学化も。 SF系 113,051文字 宇宙系社畜物語。 ブラックを超えた「ダークマター企業」で働く主人公のつらい日常。 怒涛の勢いで飛び出してくるブラックジョークがたまらないSFコメディ。 趣味が合う人には大爆笑の作品。 全体的に淡々とした進行、それがかえって笑える。 作者さまは「銀河ヒッチハイクガイド」が好きとのこと。 SFに詳しい人ならこれだけで雰囲気は伝わるでしょう! 敵も大冒険も出てこないが、そもそも現実の大部分が敵であり日々の業務が命がけ。 SFコメディに社畜要素を組み合わせたのが日本的? メロンスター社は、銀河全体に営業拠点をもつ大企業である。 従業員数は三百億人を超え、時間旅行ツアーからアサガオの栽培、哲学者の派遣業から夏休みの宿題代行まで多岐に渡る事業を行っている。 会社案内の事業内容ページがあまりに厚いため、撲殺事件の凶器として使われることが頻発したので、最新の会社案内では事業内容を「かなりたくさん」の一行ですますようになった。 これによって年間百三十万本の木が救われることとなったが、大得意先をなくした製本業界は大不況に陥ったため、自殺者が大量発生した。 これらの自殺者はどういうわけかきまって木に首をくくったので、首吊りを防ぐために年間一千三百万本の木が伐採されることとなった。 ギャグ系の作品って説明しにくいんですよね。 感性に合うか合わないかなんで。 この文章を読んで「面白い!」と感じた人は、この作品と相性ばっちり。 ぜひ本文を読んでください。 すばらしく楽しい時間を過ごせるはずです。 もうね、私はこの時点で笑いが止まりませんでしたよ! 名作の香りしかしない。 実際、本文のキレもすばらしい。 紹介分だけ面白いなんてことはなく、 読めば読むほどカオスとブラックジョークが押し寄せてくる! とにかく密度がすごい。 このクオリティは商業作品と比べても負けないレベルじゃないかと思いますねぇ、それぐらい面白い。 少なくとも私が読んできた全SF小説の中でトップクラスに入ります。 ここまで多くのギャグを考えつける作者さまはすごい人。 とてつもない想像力とセンス。 謎の装置やら、意味不明なルールやら、よくアイディアが出てくるものですよ。 主人公「セン・ペル」と、彼の部下(?)であるシュレッダーロボットたちの関係も良い。 このシュレッダーロボットたちが生意気だけど子供っぽくてかわいいんですよね~。 良い味してますよ、このシリーズのマスコット枠でしょうか。 すごい好き勝手にやってて笑うし、権利向上のための挑戦が毎回さらっと失敗しててかわいそう。 というか冷静に見ればシュレッダーロボットたちもかなり辛辣で凶暴っぽいんだけど、こいつらがマスコットにしか見えないレベルで周りがひどすぎる(笑) いや~、合う人には最高に楽しい作品。 222,319文字 記憶を失い人間に擬態していた宇宙種族の侵略兵器。 そして、彼女と一緒に仲良く活動していた人間の少女「遥」。 ある日、地球は破壊され2人は逃げ延びる。 人類最後の生き残りとなった遥が目指すは、銀河中心に座する超巨大ブラックホール。 その特異点を潜り、滅びの歴史を改変するために。 2人のはるかなる戦いと旅が始まる。 あっさりと地球は破壊され、巨大ロボが亜光速で格闘したと思えば、もふもふの宇宙人と遭遇し、人工太陽と宇宙樹にめぐり合い、金属生命体の防御網を突破する。 これぞSF!な大スケールかつ美しいシーンがたくさん。 各種の設定も非常にそれっぽく、作者さまの確かな知識とこだわりを感じて好印象。 ある意味では自己同一性が崩壊しまくってるストーリー展開も実にSFですばらしい。 SFと言っても色々とありますが、個人的には宇宙の神秘と美しさ、地球上では決してあり得ない超絶スケールの光景が大の好み。 ストライクゾーンど真ん中の描写です。 膨れ上がった太陽の中に、その 居留地 セツルメントはあった。 他の恒星間種族より黎明種族と呼ばれ、そして自らはもふもふ族と名乗るひとびとの。 その形状を一言で言い表せば、巨大なクジラである。 実際それは生きていた。 ある種の生命を備えた機械なのだ。 彼の代謝は強力な防御磁場を生み出し、恒星のプラズマや放射熱への防壁となる一方、太陽風を受け止め、運動エネルギーや有益な物質を確保するための帆の役割をも果たしていた。 さらにはこの、130キロメートルにも及ぶ巨大な構造物は、表面をある種の液体で守られている。 防御磁場によって受け止められた物質をこしとり、必要な元素を抽出する機能を備えているのだ。 元素転換は枯れた技術だが、この地に住まうひとびとはそれに頼らず、昔ながらのより素朴な方法を選んだ。 ローテクで十分に間に合うからである。 「人工太陽が照らし出す、内向きに閉じた楽園。 か……」 世界のことを遥は、そう評した。 一見すればそこは、木漏れ日の差し込む森の一角。 そう見えるだろう。 間違いではない。 されど、それ以外の全てにおいて、ここは規格外だった。 まず、地面がない。 その代わりをしているのは 機械生命体 マシンヘッドでもサッカーが出来そうなくらいに巨大な木の幹であり、四方で交差しているのも同様の巨木である。 ここは複雑に絡み合った巨木。 それも惑星サイズのそれからなる、途方もなく巨大な生態系なのだ。 まさしく驚異としかいいようがない。 そして、この天体の植物の枝葉はすべてが内を向いている。 陽光が惑星の外ではなく、中心から来るからだった。 くぅ~~~!!! たまらん! ロマンあふれる宇宙描写、すばらしい。 そして、表面的な美しさだけなく 作中に出てくる各種理論もしっかり作られていて作者さまの確かな知識とこだわりを感じて好印象。 たとえば、作中には光速を超えるいわゆるワープが出てきますが、異次元などを使わずにがっつり理論化されています。 トンネル効果が光速を越えて作用するように、位置エネルギーが一致する点同士を渡るのである。 物質の存在はそれ自体が量子である。 ある瞬間に消滅し、次の瞬間にそれは再び生成される。 離散的なのだ。 本来(量子論的な揺らぎの範囲内で)同一地点に出現するはずのそれを、均衡するもう片方の地点に再生成させるのが慣性系同調航法だった。 私は科学者じゃないので説明の正誤・可能性のありなしは判断できませんが、少なくとも作中世界の物理法則にしたがった描写しか出てきません。 なんというか作者さまの「 科学的思考」を感じます。 「 ファンタジーじゃなくてSFを書くぞ!」という心構えと言いますか。 ストーリーも本格的。 序盤で少女があっさり死んで、計算されたデータとしてシュミレーション上で会話する……この展開を見た時に「この作品は面白い!」と確信しましたね。 間違いなく作者さまはSF好き。 主人公の遥さんも、とても良いキャラです。 科学的知識が豊富で宇宙大好き。 そして、精神的強さと好奇心がやばい。 後輩の正体が金属生命体。 あっさり地球が滅び、自分が人類最後の生き残り。 しかも、自分の体は分解されて、機械の中で計算されたプログラムとしてのみ存続している……こんな状況を受け止め理解し、それでも前に進めるのはすごすぎる。 私を含めて人類の99. 特に4章のストーリーは、ほんとSF的ですねぇ。 いきなり2000年が経過! そして、人格というのは記憶なんだから「まったく同設計の機体に記憶を叩きこめば後輩ちゃんになる」という驚きの再会方法! これはガチのハードSF系の思考回路じゃないと思い付けない流れでしょう。 再会……いや、再会なんですけどね。 良い発想すぎる。 2人の少女(?)たちが助け合い支え合う百合物語にして、壮大なスケールな本格ハードSF。 こういう驚くほどの良作に出会ってしまうから、web小説の発掘はやめられません。 191,250文字文字 ホログラフィによる投影現実の高度な発達によって生まれたeスポーツ「Nove R ize」。 対面した状態で小説を書きあげ、それを相互に読ませ合う事で完成度の高さを競う! 1人1人違うタイピングスタイル、そして筆者の意識が巨大なアバターなり激しく衝突するのが魅力。 そして今、1人の少年が己の才能を開花させていく。 そして主人公を中心にキャラクターたちが良い感じに濃い。 ギャグセンスもあってかなり笑えます。 さらに 次々と繰り出される小説がすべて面白そうであり、作者さまのネタの豊富さに驚愕するしかない。 ほんと設定が良いんですよね~ ソウル・ライド……【 R izing Seed】ライジング・シードに搭載された、筆者の特殊アバター的な役割と筆力を象徴する存在。 その姿形はライドのAIが筆者の思想、信念、趣向、性格、自信、経験など様々な部分を読み取り自動生成される。 紋心 ぶんしんや 創琉 そうるなどとも呼ばれる。 ソウル・ライドは、ノベライズ中にイマジネーション(想像力)、モチベーション(意欲)、コンセントレーション(集中力)などが高まったノベライズ・ハイとなると、ホログラフィとして具現化される。 ノベライズのソウル・ライド同士の戦いは、小説に興味がない層からも人気だった。 それがこの男のソウル・ライドである。 ユニサス!そこで立ちすくむだけの腰抜けを星屑にしろ! う~ん、幻獣アバターが出てくる小説執筆……新しい! このセンスはすごいですよ。 「小説を書く」なんて普通は地味な話になるところを読んでいて爽快なバトルものへと進化させている。 アバターたちの描写が無駄にかっこよすぎぃ。 そしてストーリー展開としてもライバルたちの1人1人に個性と独特な戦術がある。 キャラ設定が上手いですなぁ。 そして何と言っても、出てくるネタが面白い! 【鈴木ロワイヤル】 ジャンル:SFサスペンス 俺は鈴木太郎。 将来は科学者にでもなってみんなを見返そうと国立の理系大学への進学を考えていたのだが、突然「パラレルワールドからやってきた」と主張する謎の美少女、ウッドベルから大学の進学をやめるよう説得される。 どうやら俺は大学で平行世界説を発見するらしく、それが人類と歴史の歯車を狂わせてしまうらしい。 様々な平行世界から次々と襲いくる俺こと鈴木太郎の群れ。 まさかの自分同士の殺し合いに巻き込まれる、セルフ・デスゲームに解決策はあるのか!? 【忍球 — ハイボール -】 ジャンル:ドラマチック・スポーツ 忍歴929年。 風・林・火・山の四つの大国が繰り広げた幾万もの血を流した百年にも及ぶ戦乱は、和平を持って終結を迎えた。 死線と争いが去ったこの世で忍としての役目を失った者たちは存在する意味を探し求めた。 そこで、球技と忍術を組み合わせた、まったく新しい戦いが誕生する。 その名は — 忍球 ハイボール — 林の国で下忍として拝命されると同時に戦の終わりを迎えた少年ハヤテは、生きる希望を失った里の仲間たちや大人たちと時に衝突しながらも球技の素晴らしさと向き合う。 野球、蹴球、排球、鎧球、籠球、籃球。 誰もが知るスポーツと忍術を融合した新たなスポ根の歴史が幕開く。 うひょ~、 どれも普通に作品になりそう。 ノベライズバトルの中でポンポン気軽に出せるクオリティじゃないでしょ! 1試合を描くのに5個ぐらいアイディアが必要なんですよ……作者さまの脳内はどうなっているのか? 小説執筆バトルという奇抜なアイディアを、すさまじい実力によって成立させている。 すごい作品です。 92,260文字 同じ関西の京都と大阪から田舎者と馬鹿にされがちなマイナー県、滋賀県。 だが、そんな滋賀県には湖として日本一の大きさを誇る琵琶湖がある! これをさらに拡大してしまえ! 今、1つの計画が美少女Vtuberにして滋賀県知事「ホタル・コウヨウ」と琵琶湖ラブな県民たちによって動き出す。 関西人なら爆笑確実、 徹底してバカバカしい発想がたまらない! ギャグセンス爆裂! そして、1発ネタで終わらず中盤からさらに加速していく怒涛のストーリー展開もすばらしい。 琵琶湖の中にある水中都市群などSF的で絵になる美しいシーンも多数。 カメラが映し出す映像には、まさに滋賀県民以外の世間が想像する、琵琶湖しかない滋賀県という光景が映し出されていた。 「県庁所在地である大津、さらには草津、彦根、長浜など滋賀県の主な居住区は全て琵琶湖の下に沈んでしまいました!」 大島は滋賀県の主要な都市だけを口にしたが、映像を見れば滋賀県にもはや人の住めるような場所がほとんどないのは一目瞭然であった。 先ほどとは比べ物にならない轟音とともに、琵琶湖の中から球状の透明なドームに覆われた都市群が次々と浮上してきた! まず顔を出したのは大津市南部。 続いて隣接する大津市北部と草津市、栗東市。 と、同時に北の方では長浜市が浮上し、米原、彦根と続いていく。 拡大した琵琶湖が滋賀県を覆いつくす 笑 その中に立つ巨大なドーム型都市群! いやぁ、とんでもない発想で面白すぎる! こういうカオスなギャグは大好きです。 ほんと読み進める手が止まらない! どんどんネタが飛び出してくる。 琵琶湖の水全部抜く! には衝撃を受けましたよ。 さらに 最後に明かされるPK計画の真実には、驚愕しつつ大爆笑。 予想の上を行くスケールのデカさ! これは天才の発想! 一部を引用しただけじゃ面白さが伝わらないのでぜひぜひ自分で読んで爆笑していただきたい。 加えて ローカルな滋賀県ネタ、および関西あるあるネタも多数。 局長からPK計画の名を聞かされた時から、Kは京都に違いないと踏んでいた。 それぐらい滋賀県民の京都への意識は凄まじい。 古都だがなんだが知らないが、何かにつけて滋賀県を田舎だとバカにする。 「それを言うならお前らも北の方はド田舎じゃないか」と滋賀県民は常に苦々しく思っているのだ。 私は大阪人ですが分かります分かります 笑 京都は意識しちゃいますよね~。 また、これだけバカバカしい話にも関わらず、 主人公の行動はとても堅実で常識的。 これが物語に謎のリアリティを与えていて魅力倍増。 上手いですね。 序盤から最後まで続くカオスを見事な文章力でまとめあげている、とても良質なコメディ小説です。 現代ドラマ 151,830文字 同性愛者の少年と腐女子の少女が織りなす奇妙な関係。 自分の秘密を打ち明けるべきか少年は苦しみの日々を送り……軽い印象のタイトルに反し、同性愛について本格的に書いている力作。 日本社会で生きる同性愛者の思考・悩みが生々しく描かれていて非常に重いリアリティがある。 私自身、まだまだ同性愛者の方々について無理解だと気づかされました。 またテーマ性だけでなく 筆力があって純粋に小説としてもレベルが高い。 話の流れ・それぞれのキャラクターの行動・会話、ぐいぐい読み進めてしまいます。 BL女子を組み込んできたのも若いセンスで良い。 世間体じゃない。 世俗を気にしているわけじゃない。 少なくとも僕は、僕と奥さんと子どもで築く平凡な家庭も、郊外の庭付き一戸建ても、孫たちに囲まれた幸せな老後も、全部欲しい。 たくさんの家族に看取られて、「いい人生だった」なんて呟いて、眠るように息を引き取りたい。 ただちんぽこが、ちんぽこがどうしても上手く勃ってくれない。 本当に、ただそれだけの単純な話を、ほとんどの人は分かってくれていない。 ゲイの人でも、自分の子供が欲しい。 なんというか当たり前と言えば当たり前なんですが、私はこの文章を読むまで理解できてなかったです。 百合とかBL呼ばれるジャンルでは同性愛者同士のやり取りが基本。 だから誤解も無く平和な世界。 しかし本作では、異性愛者に好意を持たれてしまう、というストーリー。 そして 同性愛者だけど子供と家庭が欲しいと願っている。 リアリティがあり強烈に重い展開。 偽装結婚してるマコトさんもねぇ……重いキャラです。 あと、ミスター・ファーレンハイトの真相は本当に驚きました……なんてこったい。 驚きと失望と、それ以上の悲しみ。 主人公と一緒に心揺さぶられますね。 そして「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」、すごく良いタイトルだと思います。 キャッチーで興味が引かれるし、問題の大きさも上手く表現している。 そして途中で反転するのがまた味わい深い。 「彼女が好きなのは僕であってホモではない」、ある意味でより絶望的。 勉強になるし小説としても完成度が高い。 ぜひ読んでみるべき作品じゃないかと。 それにしても、この作品が「面白い」とか「珍しい」とか言われない社会にしていかないとダメですね。 日本社会の中で自分が同性愛者であることが堂々と公言できないからこそ、この物語が成立してしまうわけで。 143,231文字 2019年。 加速するサイバー犯罪に対抗できる人材が求められている世界。 サイバーセキュリティ製品をあつかう主人公「ショウ」は、かつて同僚だった「サク」を探していた。 ようやく再会したものの彼は犯罪者になっていて、さらに東京で大規模なサイバーテロが発生し……!? SFではなく既存技術を題材としたハッカーたちの物語。 作者さまは現役のIT関係者であり、内容が本格的で厚みがあります。 その分だけ細かいので、まったく知識が無い人はやや読みにくいかもしれませんが……説明が上手いから気にならないのでは。 ストーリも序盤から緊迫感があり読み進めちゃいますね。 あと タイトルが見事。 IT関係の言葉を使って内容を適切に表しつつ、詩的な雰囲気も感じられる。 ブラックホールというのはこの業界では天文学の話ではなく、アプリケーションを攻撃するウェブサイト上のサービスのことだ。 使い方は難しくなく、子供でもやり方さえ教え込めばハッキングができるようになる。 そんなサービスがあるとは! 怖い! 読んでると色々と勉強になる。 色々とな攻撃方法と、様々な防御法。 非常にしっかりした業界ものです。 もちろん、知識をダラダラと並べるだけの退屈な作品ではありません。 え、ただいま総理からありました通り、『ナイアルラトホテップ』を名乗るハッカー集団より声明が出ました。 昨日から東京23区を中心として、医療、交通、電気ガス水道などへ集中的な攻撃が繰り返され、利用できない状態が続いておりますが、いずれもこのハッカー集団によるものとのことです。 いきなり東京がサイバーテロで壊滅した部分からスタート! 死者1万人! 何がどうなったのか、グッと引き込まれます。 そして「 サイバー犯罪でも人が死ぬ」という危機感を提示してくるのも良い。 私みたいな一般人だと、どうしてもサイバー犯罪を軽く見ちゃってる気がするので。 こういう風に「 ネットの中だけで終わる話じゃない!」と見せられると物語に迫力が増します。 ウィルスと攻防するシーンも非常に上手い。 ぶっちゃけ「どれだけすごいのか」を理解できる人は少ないでしょうが、 知識が無くても「何となく超すごい」とは理解できる。 すばらしい筆力です。 ストーリー展開も本当に迫力がある。 出会いと別れ、成功と崩壊、正気と狂気、白と黒……特に事件が起きてからの緊迫感には引き込まれます。 おお……みんな良い奴だったのに。 読んでて辛い重苦しさ、でもだからこその魅力が……そして勝ち逃げするサク君有能。 しっかりした専門知識、そして交錯する人間関係と真実。 とても良質な現代ものです。 さて、個人的完結作品ベスト10はいかがだったでしょうか。 我ながら偏ってる……ほんとカクヨムにも面白い物語はたくさんありますよ。

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